5.3. ATPと細胞の仕事
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炭水化物、脂質、その他のエネルギーとなる分子を、我々は食物から得ている 細胞呼吸によって、これらの有機物が分解された時に放出された化学エネルギーは、ATP分子の産生に使われる こうしてできたATP分子が細胞の仕事に用いられる
ATPはエネルギーのシャトルのように働く
食物から得たエネルギーを蓄えておき、後で必要なときにエネルギーを放出する
ATPの構造
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三リン酸は細胞の活動のためのエネルギーを供給する「仕事」をする部分 それぞれのリン酸はマイナスに帯電していて、たがいに反発しあっている
リン酸基のもつマイナス電荷が近くに存在することが、ATPのもつポテンシャルエネルギーに寄与している
圧縮したバネがもつエネルギーに似ている
ATPの持つ潜在力は、3つのリン酸のうちの末端のリン酸が離れることで生じ、これが細胞の仕事に用いられる
リン酸の転移
ATPが細胞内で仕事をする際、リン酸は単に空間に遊離してしまうのではない リン酸は細胞内の他の分子に転移し、その分子を励起する
このリン酸基の転移は細胞の3つの主要な仕事、すなわち、機械的な仕事、輸送の仕事、化学的な仕事を行うのを助けている
自転車に乗った人が坂道を登るときのことを考える
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するとモータータンパク質は形を変え、結果として筋肉の細胞は収縮し、機械的な仕事をすることになる
ATPはダイバーの脳の細胞膜を介して、イオンやその他の溶質を、輸送させることもできる https://gyazo.com/22ce59c8bdfd60a127afd28fb981232f
イオンの輸送は、脳の細胞が電気信号を筋肉やその他の組織へ送ることを可能にする
また、ATPは細胞内で、巨大分子を作る化学的な仕事にも貢献する
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3つの仕事はすべて、標的となる分子がATPのリン酸基を受け取ることに注目して欲しい
ATPサイクル
細胞はATPを絶え間なく消費している
ATPはADPにリン酸基を付加することで再生される この過程は、伸びたバネをもう一度圧縮するのと同じようにエネルギーを必要とする
これが食物でまかなわれる
細胞の仕事には、ATPが必要であるが、このATPは細胞呼吸で得たエネルギーを使ってADPとリン酸が結合することによってリサクルされる
このように燃料となる有機物の分解によって得られたエネルギーは、筋収縮やその他の細胞が行う仕事のエネルギーに受け渡される
3つ目のリン酸基が、ATPサイクルの中で、エネルギーの受け渡し役として働く
ATPサイクルは、驚異的な速度で進行する
仕事をしている筋肉細胞の中では、ATP分子すべてが1分に1回再生されている
これは1細胞あたり1秒毎に1000万ものATP分子が消費され再生されている計算になる